いつも前のめり

好きなことを好きなだけ

私は人を殺したことがない。

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こんにちは。私です。

 

突然ですが私は人を殺したことがありません。

いきなりすぎて怖かったですか、すいません。

ただまぁそのおかげで、こうして自由気ままに時間の許す限り、自分のしたいことをしたいようにすることができます。

そして今の所、その「したいこと」の上位にランクインしているのが「観劇」です。

告知を見て、予定を合わせて、チケットを取って、時には遠征して、当日を迎えれば劇場へ赴き、数時間を演劇に向き合って過ごしています。

それはとても楽しい時間で、まさに至福のときです。

そのあとには、現場のオタクとあーだこーだと感想を言い合ったり、このブログを書いたり、まぁかなり「観劇」と「観劇に付随する行為」を楽しんでいる方だと思います。

 

さてこの「演劇」「舞台」というものをライフワークにしてから、たくさんの舞台を観ました。がっつりハマったのが去年の3月21日なのですが、それ以前と、それ以降の1年を比べてみると、以前には年に1〜2回だった舞台鑑賞が、以降の1年では何十倍にもなりました。DVDや配信も含めるともっとかなぁ。

とはいえ、未だに私は演劇素人でしかなく、いわゆる「演劇人」と言われる人たちが見るような目線で観劇するには至りません。

例えばお名前出して恐縮なんですが、ライターの横川さんのレポートとかを読むと「ははぁ〜」って唸ることがよくあります。舞台を観て、その時の感覚を言語化できるのはなんて素晴らしいんだっていつも思うんですが、「好きなキャラクターが光の中でブワッとなった」ぐらいにしか私には表現できなくて残念無念極まりないです。更に言えば、「あの演劇手法が」とか「あの役者は、この演出家とのやり取りを経てこういう味わいが出た」とか、そういう深いことは、とてもじゃないけどもっと言えそうに無いわけです。まぁ言えるようになるつもりもないんですけど。

それでも素人なりに舞台を楽しんで観ています。

いやほんと楽しくないとあんなに舞台観れないですしね。

そしてこれは、あくまで素人であると自覚している私が、決して思い上がりや奢りや天を衝くようなプライドによって言っているわけではないとご理解いただいた上での話なんですが。

 

「素人」イコール「馬鹿」ではないと思うんですよね。

 

これが今回の記事の本題です。

いやほんと、そう思うんですよね。素人なりに。

前述の通り、私の持ってる「演劇」に関しての知識って、一番それっぽいので「カミテ・シモテ」「マチネ・ソワレ」ぐらいです。やばいよね。

それについては、ほんとすいません。

それでもですよ。

少なくとも、私は友情がどういうものか知っていますし、家族というものも知っています。もっと言えば、恋も失恋も知っているし、上司と部下という関係性や、ほんのちょっとしたことで腹が立って仕方が無い日があることも、何をするのも嫌な日があることも、一方で、好きな人のほんの些細な一言で有頂天になって街中で歌いだしそうな心地になれることも知っています。

または、料理の仕方を知っています。勉強がめんどくさく感じることも、一方で問題が解けたときの楽しみも知っています。朝の爽快感も、または、もっと寝ていたい朝があることも。歩き方も走り方も、笑い方も泣き方も、怪我をすると痛いとか、そういうことも知ってるわけですよ。

極論、舞台を作る人が送る日常と同じものを、私も概ね送っているつもりなので、その人達が持っている一般教養や感覚は持ち合わせているつもりです。

 

もちろん、詳細を突き詰めるなら、人によって思い描くそれぞれのイメージや感覚は違うと思います。

例えば、私にとっての「朝」は11時ぐらいまでを指すんですが、それが9時ぐらいまでの人だっているでしょうし。それらが私個人の持つイメージや感覚であることは百も承知しています。

同様に、舞台に立つ人たちが思い描くそれらも、私の持つものとは多少なりと違うでしょう。

 

それでも、俳優たちが舞台の上に生み出すキャラクターたちの感情や意志は、とても生々しく、そしてきっと、彼らの意図したように受け取ることが出来るんですよね。

 

あ、いまこの人は悲しいんだな、とか。

わかる、嬉しいよね、とか。

うわ、めんどくさそう、とか。

だからそういう行動するのか、とか。

なるほど、あの言動はそのためか、とか。

 

そういういろんな事を、確かに受け取ることができます。

あちら側とこちら側の日常的な感覚の共有があって、さらに、各人が持つ感覚の誤差を修正しうるだけの説得力があって、「意図」や「仕掛け」に対する相互理解が生まれるんだろうなって思います。

あくまでフィクションなんですけどね。

それって本当すごいなって、いつも思っています。

だって、日常なわけがないんですよ。ホームビデオじゃないので。あくまでフィクションなのに、感覚が共有されて、没入していってしまう、あの感じ。

 

現実と非現実を混ぜ合わせた舞台だからこその醍醐味って、本当そういうところじゃないかなって思います。

共有している感覚や日常があって、そこに加わるフィクションが如何に現実味を伴って共有されるかっていう。

さらには、そこにストーリーやメッセージがあって、それを語るにしろ、潜ませるにしろ、いかに鮮明に観客の心にぶつけるかって、とてもじゃないけど同じ人間の思考とは思えないくらい脱帽しています。いつも。

ほんと、舞台って面白いんですよね。

面白いって思えるだけのものを、私は観劇するたびに共有させてもらってて、それはきっと、舞台を作っている人たちが懸命に育てて、意図して、伝えてくれたものなんですよね。

 

繰り返しになりますが、素人だって、馬鹿じゃないんですよ。

 

そういうものは、伝わります。

何より、舞台が好きだからこそ、こちらも懸命に意図を理解しようと努めます。

誰だったか忘れたんですけど、「趣味こそ本気でやらんと意味ないだろ」みたいなこと言った人がいませんでしたっけ。それほんとに思うんですよね。

趣味だからこそ、本気で取り組みたいんですよ。こちとらマジで。

だから、「この舞台は何を伝えようとしてるんだろう」って頭を働かせて、目端を聞かせて、グルグル考えるわけです。

だからほんと、これだけ言いたいんです。

 

素人だって馬鹿じゃないんだから、伝わらないのをこっちのせいにしないでほしい。

 

何とは言わないんですけど、ほんとに何も伝わらない舞台ってあるんだなって痛感しました。なーーんにもなかった。ただ頑張っている俳優を観ただけだった。子供の運動会じゃないんだから。まだそっちのが感動するわ。

素人だって馬鹿じゃない、伝えてくれたものはしっかり受け取ろうとしてるし、そうしてきた。そして、一方でさ。伝えようとするのはプロとして当たり前なのでは?とも思うんですよ。

相互理解なんですよ、相互理解。つまり、相互に作用して初めて舞台って完成するんですよ。

こっちは舞台を向いてんのに、そっちが明後日向いてたら相互理解なんか生まれるわけ無いじゃん。

何が言いたいの?

俳優の口と体を借りて、何を言わせたかったの?

本当に何も伝わらなかったし、察することができなかった。ただ、やりたいことは何となく分かるのがダサい。なんかこう、ここはカッコよく決めたかったんだな、とか。ちょっと小難しい感じにしたかったんだな、とか。やりたいことは分かるけど、できてないのでダサい。しかも、出来るはずの俳優揃えてるのがなおダサい。

他の舞台でその俳優が、そういう意図をもったシーンを完璧に演じてるの観たわ。

それもう観たんだわ。

 

頼むから、これ以上、素人を馬鹿にするみたいな作品は上演しないでほしい。

 

この土日で、ほんとそう思いました。

素人って、何度も言うけど、馬鹿じゃないんだよね。だから、そういう「うわぁ、バカにされてる」というのは分かるんだよね。

実際、馬鹿にしようとしてバカにしてるかは分からんけど、こっちがそう感じる時点で、伝え方が間違ったかも知れないと自問してほしいです。

 

ただ、勘違いしてほしくないんですが、私は心底から舞台を作り上げるって凄いことだと思っています。

 

だって、私は人を殺したことがない。

 

今こうして日常を過ごしている私には当たり前のことですが、実際に人を殺すなんて、したことがあるわけないんです。

けれども、そんな私でも舞台の上で「人を殺すことについて苦悩する」人に感情移入し、想いを寄せて、涙したことがあります。

それを演じた俳優だって、もちろん誰かを殺したわけじゃない。

それでも、その俳優が演じたシーンに作り手の意図があって、意味があって、相互理解と説得力があれば、私は何度だってその想いに寄り添って泣くでしょう。 

 

同じく、わたしには特殊能力もないし、スポーツも特にしないし、ミュージカル演りたいとも思わんし、刀も銃も使えません。

それでも、意図や意思や、メッセージを推し量って、受け取って、噛み砕いて共感することはできます。

 

舞台はそうやって、非日常を共感させるレベルにまで私たちを誘ってくれるんですよね。私たちが経験したことのある、それ以上のものを見せてくれて、それだけでなく共有させてくれる、そういう舞台がたっっくさんあります。

それって本当に凄いことだし、尊敬の念が尽きません。

まさにエンターテイメントという芸術だと思います。

 

私が観たいのはそういう舞台です。

ただ人を殺す、というのではなく。そのシーンに、そういう道筋が生まれるような、生み出された道筋に寄り添えるような、そういう舞台を私は観たいんです。

 

素人ながらも、しっかりと舞台を見据えるので。どうか、作り手の皆様にも観客の方を向いて欲しいと心から思いました。

 

 

 

4/17.追記:「私が観たあの舞台のこと…?」と全然違う舞台のことをご心配されてる方をお見かけして、申し訳なくなったのでもう明記しておきますが、桃源郷ラビリンスです。