お城があったんですよね、実家近くの川沿いに。
近くっていっても、車で15分は走らないといけないような距離で、小学生にもなってなかった私の生活圏内ではぜんぜんなかったけど。
そして本物のお城ってわけではなくて、
こう、お城風って感じの建物で、ディズニーのシンデレラ城とか、
幼い私にはあれらと同じものに見えてたんだよね。
昼間は茶色い外壁が野暮ったいんだけど、夜になるとキラキラしてて、前を車で通り過ぎるときなんかには「キレイだな~」って見上げていた。
それでまあ、私はその建物をお城だと思ってるわけだから、当然の疑問として「誰が住んでるんだろう」と思うわけ。
シンデレラかな、白雪姫かな、みたいな。
で、ぜんぜん分かんないから大人に聞くんだよね。
「あのお城って誰が住んでるんやろ」
とかって。
なんて聞いたか正確には覚えてないんだけど、
車の中から例のお城みたいな建物を見上げながら聞いたときの、あの気まずそうな大人たちの苦笑だかなんだかって顔と雰囲気。
あれだけはほんと忘れらんない。
大人に聞いたらイマイチなことってあるんだな~、って多分あのときの記憶が、今ある最古の記憶だと思う。
そしてこの記憶のおかげで、お子様と触れ合うときには、大人と遊んでくれてありがとう、という気持ちがほんのりとある。
子供って案外と大人の顔色見てるし、忖度してくれてたりするよね。
っていうか、大人と子供の境界ってほんとよくわかんないな。
大人になっても、子供と同じようにお城に惹かれるんだもんね。